増え続ける子供のアレルギーの予防には、生まれた時から多くの細菌と触れ合うことと、
日頃から清潔過ぎない習慣の中で生活する事が大切です。
それが結果として体の免疫力を高めてくれます。
兄弟の数が多いほど、アレルギー体質になる子供は少ないと言われます。
一人っ子だとどうしても手をかけ過ぎて、
「汚いから触らないのっ」「手をよく洗いなさいっ」と言い、身の回りは除菌したり消臭したり。
また、第一子は弟や妹に比べてアレルギーになりやすいのです。
それは、第一子では必ず哺乳瓶や離乳食の食器を煮沸していたけど、
二人目からは面倒臭くなってしていないというのは、よくあるのではないでしょうか。
実はそのような手抜きが細菌やアレルギーに強い免疫力を持つ子に育つ差になるのです。
目次
花粉症などのアレルギーから子供を守る9項目
指しゃぶりは腸内細菌を増やす
指しゃぶりをすると、手に付着している色々な種類の菌が体内に入ります。
それは、子供の体によいことで、腸内細菌を増やす行為と言えます。
指しゃぶりはすぐにやめさせる必要はありません。
悪い病原菌に負けない腸内細菌を整える為に、本能的にしている行為だととらえましょう。
成長し、腸内細菌が十分に育てば、自然としなくなるものです。
自然分娩のほうが腸内細菌が多い
赤ちゃんは胎内にいるときは無菌状態です。
それがどのように腸内細菌を獲得するのかというと、出産時です。
自然分娩では、生まれる時に産道や子宮口、肛門付近を通過しますが、
その際に母親の腸内細菌と触れ合い、吸い込む事によって菌を獲得します。
帝王切開で生まれた赤ちゃんはその過程がないため、
自然分娩の赤ちゃんの方が腸内細菌の数が多いと言われています。
母乳、ミルクを飲むときに、消毒はほどほどに
赤ちゃんは授乳時に母親の乳頭をくわえますが、
その時に母親の皮膚に付着している菌を母乳と一緒に飲み込む事によって、腸内細菌を獲得します。
なので、授乳時は乳頭を消毒しない方が良く、ミルクの場合も哺乳瓶や乳頭の消毒もしない方がよいのです。
不安であれば、ほどほどに消毒しましょう。
腸内細菌の種類と数を増やす為に、赤ちゃんが触れるものは消毒はほどほどにして、細菌を体内に入れるようにしましょう。
できる限り母乳を飲ませ、離乳時のスタートはなるべく遅く
子育てで大切な事のひとつは、子供の免疫力を高めること。
母乳には免疫機能を高める効果や、腸内細菌を整える働きのある成分が含まれ、アレルギーの発生も抑えられます。
ですので、母乳はできる限り飲ませ続けましょう。
現在、離乳食のスタートは一般的に生後5ヶ月頃ですが、それはあくまで目安。
5ヶ月になったから始めるのではなく、大人の食事を見て口を動かしたり、
手を伸ばしたりするなど、子供からの離乳食開始のサインを見届けてから始めることが大切です。
それらのサインは胃腸の消化機能が発達し、離乳食が食べられる準備が整った合図です。
消化機能が未発達のうちに離乳食を始めると、腸への負担がかかってしまいます。
それが腸に穴が開くリーキーガット症候群を起こす原因のひとつと考えられています。
泥んこ遊び、砂遊びをする
泥んこ遊びをしている子供にはアレルギーが少なく、
部屋でコンピューターゲームなどの一人遊びをしている子供はアレルギーになりやすい。
と言われています。
泥の中には良くない菌もいますが、悪い菌がいる確率は低く、子供の免疫能力を高める事に役立つ菌も沢山います。
ですので、泥んこ遊びや砂遊びををさせて、土の中の多くの菌を体内に取り込み、免疫力を高めましょう。
抗菌・殺菌グッズは、なるべく使わない
身の回りには怖い菌がウヨウヨ、手はしっかり洗い、
身の回りのものは殺菌しないと健康に悪い、病気になってしまうと思い込んでいませんか?
しかし、私たちの周辺にはそんなに怖い菌はいません。
いるのは善玉菌でも悪玉菌でもない日和見(ひよりみ)菌。
日和見菌は腸内細菌のバランスをとり、健康なときにはよい働きをする重要な菌です。
除菌してしまうと、免疫力が低下して体が弱くなってしまいます。
菌は殺さず、体に取り込む方が良いのです。
それでも菌がどうしても気になるなら、除菌回数を減らし、ほどほどにしましょう。
風邪をひくくらいでちょうどいい
どんなに除菌しても無菌状態をつくることはできません。
空気中には必ず菌がいて、体調が悪く免疫力が低いときには風邪をひきます。
子供の頃は、免疫力を鍛えている途中の段階ですので、
適度に菌にされされていた方が、免疫システムの活躍の場、
つまり菌と闘う機会が増え、そのたびに免疫力が高くなっていきます。
子供が風邪をひくことを恐れず、むしろ免疫力を高めるチャンスと捉えましょう。
子供の肌にいろいろなものをつけない
清潔なほうがいいと思い、アルコール入りのウエットティッシュ、
プッシュ式のアルコール剤、虫除けスプレーなどを使ってしまいますが、使いすぎはかえって体を弱くします。
時と場合に応じてほどほどに使いましょう。
アルコールは皮膚常在菌を殺してしまいますし、虫除けスプレーの成分には農薬の一種が入っています。
行き過ぎた使用は免疫力を低下させてしまいます。
BCGの接種で花粉症予防
予防接種とは、特定の病気に対する免疫をつける為に、抗原物質を投与することです。
予防接種によって終生免疫がつき、かからずにすむ病気と、かかることがあっても軽い病状ですむ病気があります。
受けるかどうかは保護者の判断ですが、現在、過剰な清潔好き社会により、
免疫力が弱い人が多いので、基本的には予防接種は受けたほうがよいでしょう。
結核菌による感染を防ぐBCGという予防接種は、
これを受けた子供、なかでも追加免疫を受けた子供は花粉症になりにくいのです。
一度感染したら、生涯その病気にかからずにすむ免疫の事。
麻疹や風疹、おたふく風邪、水ぼうそうなどが代表的。
これらは体内に抗体がつくられて終生免疫が得られるので、一度かかると二度とかからないのです。
まとめ
免疫能力は機能すればするほど能力が高くなります。
その為には適度に菌にさらされる生活、ときどき風邪をひくくらいの環境の方がよいのです。
手洗いは水でサッと指先を濡らす程度、落ちたものは平気で食べる、
人が触った玩具をなめるなどは、「汚い」ことのように見えますが、これらは腸内細菌を増やす行為です。
それらが自らの免疫システムをきたえる事に繋がりますので、
ちょっとくらい汚くても大丈夫だと、おおらかな気持ちで子供を見守りましょう。